産廃の講習会は代表者以外が受講してもよい?受講できる人を解説

「代表者が忙しくて講習会に行けない。役員や工場長、支店長に受けさせてもいいのだろうか」——受講者を決める段階で、多くの会社がこの疑問にぶつかります。

結論から言えば、代表者以外でも認められる場合はあります。ただし「手が空いている社員なら誰でもよい」わけではありません。認められるのは特定の地位にある人に限られ、しかもその範囲は申請先自治体によって異なります。

この記事では、法人・個人事業主それぞれで誰が受講者になれるのか、政令使用人とは何か、そして受講後に人事異動があった場合の注意点までを整理します。

※本記事は普通産業廃棄物の収集運搬業を前提とした全国向けの解説です。認められる受講者の範囲、監査役や政令使用人の扱い、必要な証明書類は自治体によって異なります。受講者を決める前に、必ず申請先自治体へご確認ください(情報確認日:2026年7月25日)。

目次

結論――代表者以外でも認められる場合がある

講習会の受講者は、代表者に限られません。法人であれば、代表者のほかに「業務を行う役員」や一定の「政令使用人」なども認められ得ます。

ただし、ここで強調しておきたいことがあります。

「代表者以外でも可」ではありますが、「誰でも可」ではありません。

そして、監査役の扱い、認められる役員の範囲、政令使用人の事業区域要件などは、申請先ごとに運用が異なります。この記事の内容を目安にしつつ、最終的には申請先自治体の基準を確認する、という進め方が確実です。

法人で認められ得る受講者

法人の場合、受講者として認められ得るのは次の立場の人です。

代表者

代表取締役など、法人を代表する者です。最も確実な受講者です。

業務を行う役員

産廃事業に関して業務を行う役員です。ここで注意点があります。

神奈川県の手引きは、業務を行う役員から「監査役を除く」と明記しています。

役員であればすべて認められるわけではなく、監査役は対象外とする自治体があります。「役員だから大丈夫」と考えず、その役員の職務内容と、申請先の扱いを確認してください。

政令使用人

支店等の代表者などが該当し得ますが、単なる肩書だけでは認められません。確認されるのは実質的な権限です。

  • 支店等の代表者であること
  • 収集運搬等の契約を締結する権限を継続的に有すること

たとえば東京都のFAQでは、政令使用人を「本店・支店の代表者、または継続的に業務を行う施設で処理業の契約締結権限を有する者」と説明しています。また、登記されていない政令使用人が修了者となる場合には、その権限を示す証明書を求める運用が示されています。

さらに、神奈川県では政令使用人を「県所管区域を事業活動の範囲とする支店等の代表者」に限定して案内しており、事業区域の要件を設けています。

つまり、政令使用人として受講者にする場合、肩書だけでなく、権限・事業区域を示す組織図、辞令、証明書などの裏付けが求められ得ます。「支店長だから政令使用人だろう」という自己判断は避けてください。

個人事業主で認められ得る受講者

個人事業主の場合、受講者として認められ得るのは次の立場です。

  • 個人事業主本人
  • 条件を満たす政令使用人

注意したいのは、「配偶者だから」「従業員だから」という関係だけでは足りないという点です。家族や従業員であっても、それだけで受講者として認められるわけではありません。政令使用人にあたるかどうかは、法人と同様に権限などで判断されます。

一般社員を受講者にするときの注意

最も避けたいのが、役員でも政令使用人でもない一般の従業員に受講させてしまうケースです。

単なる従業員の修了証は、申請者の「知識・技能」の証明として認められない可能性があります。

講習会は、申請者(法人・個人事業主)が知識・技能を有することを示すためのものです。事業の意思決定や契約に関与しない一般社員が受講しても、その証明にならない、という考え方です。

受講させる予定の人が微妙な立場(部長、課長、現場責任者など)である場合は、申込み前に、役職・登記の有無・委任されている権限・担当区域を具体的に伝えて、申請先自治体に確認してください。受講してから「認められない」と分かると、受け直しになります。

受講後に人事異動・退任した場合

見落とされやすいのが、受講後の人事異動です。

問題になるのは、申請の時点で、受講者が認められる地位にあるかという点です。講習会を受けた役員が、申請前に退任していたり、担当から外れていたりすると、その修了証が使えなくなる可能性があります。

次の点は、必要に応じて申請先自治体へ確認してください。

  • 講習会修了者が退任・異動した後の取扱い
  • 変更届が必要になるか
  • 次回の更新への影響

とくに、退任予定の役員に受講させるのは避けるべきです。「受講の時点では役員だったが、申請時には退任していた」という状況は、実務で起こりがちな失敗です。

受講者選びのチェックリスト

受講者を決める前に、次の点を確認してください。

  • 申請主体は法人か個人か
  • 申請地域(政令使用人の事業区域要件に関わる)
  • 受講予定者の役員登記の有無
  • 受講予定者の契約締結権限の有無
  • 受講予定者の勤務先(本店か支店か)
  • 受講予定者が申請時にも在籍している見込み
  • 修了証の有効期間の扱い

これらを整理したうえで、申請先自治体に確認してから申し込む。この順序を守ることが、受け直しを防ぐ最大のポイントです。

よくある質問(FAQ)

Q.取締役なら誰でも受講者になれますか?

A.役員であっても、すべてが認められるとは限りません。産廃事業に関して業務を行う役員が対象で、監査役を除くと明記している自治体があります(神奈川県の例)。役員の職務内容と申請先の扱いを確認してください。

Q.監査役の受講でも認められますか?

A.認められない場合があります。神奈川県の手引きは、業務を行う役員から監査役を除くと明記しています。監査役を受講者にする予定がある場合は、必ず申請先自治体に確認してください。

Q.支店長・工場長・部長は政令使用人になりますか?

A.肩書だけでは判断できません。政令使用人にあたるかどうかは、本店・支店の代表者であるか、収集運搬等の契約を締結する権限を継続的に有するかなどで判断されます。自治体によっては事業区域の要件もあり、権限を示す組織図・辞令・証明書などを求められることがあります。

Q.役員でない社員の受講は無効ですか?

A.役員でも政令使用人でもない一般の従業員の修了証は、申請者の知識・技能の証明として認められない可能性があります。受講予定者の立場が微妙な場合は、申込み前に役職・権限・担当区域を伝えて申請先に確認してください。

Q.行政書士が代わりに受講できますか?

A.できません。講習会は、申請者(法人の役員・政令使用人、または個人事業主本人・政令使用人)が知識・技能を有することを示すためのものです。代理人である行政書士が受講しても、申請者の証明にはなりません。

Q.受講した役員が退任したら講習会を受け直す必要がありますか?

A.申請の時点で、受講者が認められる地位にあるかが問題になります。受講した役員が申請前に退任している場合、その修了証が使えなくなる可能性があります。退任後の取扱いや変更届の要否、次回更新への影響は、申請先自治体に確認してください。

おわりに

講習会の受講者選びは、「誰でもいい」ではなく「認められる地位の人を選ぶ」作業です。そして、その範囲は自治体によって少しずつ違います。

失敗のパターンははっきりしています。監査役に受けさせてしまう、一般社員に受けさせてしまう、退任予定の役員に受けさせてしまう、支店長を政令使用人と自己判断してしまう。いずれも、受講の前に申請先へ確認していれば防げたものです。

政令使用人として受講させる場合は、権限や事業区域を示す書類が求められ得ます。肩書だけで判断せず、裏付けまで含めて準備してください。迷ったら、申し込む前に申請先自治体へ確認する。これが遠回りを防ぎます。

当事務所(M&M行政書士事務所)は、建設・解体の現場を経験したうえで許可申請を扱っています。「この立場の人を受講者にして問題ないか」「政令使用人として認められるか」といった受講者選びのご相談から、申請全体まで対応できます。

産業廃棄物収集運搬業許可についてお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。オンライン対応で、全国からのご依頼を承っています。

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※本記事は2026年7月25日時点の公式資料をもとにした一般的な解説であり、個別の申請について結果を保証するものではありません。認められる受講者の範囲、監査役・政令使用人の扱い、必要な証明書類は自治体・時点によって異なります。受講者を決める前に、必ず申請先自治体の手引き等をご確認ください。

参考:神奈川県「新規許可申請の手引き」/東京都環境局「よくある質問」/千葉県「許可申請等の手続き及び留意事項」/e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」第6条の10

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