自社の廃棄物を運ぶ場合も産廃収集運搬業許可は必要?

「自社で出た廃材を、自社のトラックで処分場へ持って行く」——このとき、産業廃棄物収集運搬業許可は必要でしょうか。

結論から言えば、排出事業者が自ら運ぶ「自己運搬」は、原則として収集運搬業許可が不要です。ただし、ここには誤解しやすい落とし穴がいくつもあります。「自社トラックだから大丈夫」「グループ会社だから自社扱い」「許可が要らないなら車両表示も不要」——いずれも危険な理解です。

この記事では、自己運搬として認められる条件と、許可が不要でも守らなければならない義務を整理します。

先に押さえておきたい5つのポイント

  • 排出事業者が自社の事業活動で生じた産業廃棄物を自ら運ぶ「自己運搬」は、原則として収集運搬業許可が不要
  • 重要なのは「自社トラックを使うこと」ではなく、排出者と運搬主体が同一であること
  • 顧客や別法人から依頼された産業廃棄物を運ぶ場合は、原則として許可が必要
  • 自己運搬でも、車両表示・書面携帯・飛散流出防止などの運搬基準は守る必要がある
  • 自社で運搬しても処分を業者へ委託する場合は、処分委託契約とマニフェストが必要

※本記事は2026年7月24日時点の公式資料をもとに整理したものです。自己運搬に該当するかどうかは、契約内容と実態によって判断が分かれます。個別案件の最終判断は、都道府県・政令市等へご確認ください。

目次

自社の産業廃棄物を自ら運ぶなら許可は原則不要

産業廃棄物収集運搬業の許可は、廃棄物処理法第14条第1項に定められています。そして同項では、排出事業者が自らその産業廃棄物を運搬する場合を許可の対象から除いています。

これがいわゆる「自己運搬」です。

自己運搬として整理される典型例は次のとおりです。

  • 法人が、自社の事業活動で生じた産業廃棄物を、同じ法人が運搬する
  • 個人事業主が、自分の事業で生じた産業廃棄物を運搬する

ポイントは、排出者と運搬者が同一であること。法人であれば「同一の法人格」であることが前提になります。

都道府県をまたぐ場合はどうなるか

真正な自己運搬であれば、都道府県をまたいで運搬する場合でも、収集運搬業許可は原則として不要です。許可業者のように「積む県」「降ろす県」それぞれの許可を取る必要はありません。

ただし注意点があります。自治体によっては、県外から産業廃棄物を搬入する際の事前協議や届出を条例等で定めている場合があります。廃棄物処理法上の許可とは別の制度なので、運搬先の自治体のルールは別途確認してください。

事業から出たごみがすべて産業廃棄物とは限らない

自己運搬を考える前に、まず確認すべきことがあります。その廃棄物は本当に産業廃棄物か、という点です。

事業活動から出た廃棄物であっても、種類や業種によっては事業系一般廃棄物として扱われます。そして一般廃棄物には、産業廃棄物収集運搬業許可の制度そのものが適用されません(一般廃棄物収集運搬業許可は市町村の許可です)。

区分
産業廃棄物(業種を問わない)廃プラスチック類/金属くず/ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず/がれき類 など
排出業種が限定されるもの紙くず/木くず/繊維くず/動植物性残さ など(限定された業種から出た場合のみ産業廃棄物)
特別管理産業廃棄物廃石綿等/PCB廃棄物/感染性産業廃棄物/引火性廃油 など(別区分)

とくに紙くず・木くずは要注意です。同じ「木くず」でも、建設業から出たものは産業廃棄物になりますが、業種によっては事業系一般廃棄物として扱われます。自己運搬の可否以前に、そもそもどの区分の廃棄物なのかを確認してください。

どのような運搬が「自己運搬」になる?

自己運搬に整理される例

  • 自社工場で生じた廃プラスチック類を、自社が処理施設へ運ぶ
  • 自社店舗で生じた産業廃棄物を、同一法人が運ぶ
  • 自社の工事から出た廃材を、排出事業者である自社が運ぶ
  • 同一法人の本店・支店・工場間で運ぶ
  • 自社が使用権原を持つリース車両・レンタカーを使用する

車両の名義より「管理・指揮・責任の所在」

よくある誤解が「自社名義の車でなければ自己運搬にならない」というものです。実際には逆で、車両の所有名義より、運搬の管理・指揮・責任が誰にあるかが重要になります。

リース車両でもレンタカーでも、自社に使用権原があり、自社の管理・責任のもとで運搬しているのであれば、自己運搬として整理し得ます。

逆に、車両が自社名義であっても、運転者・配車・運搬経路の管理をすべて外部業者が担っているような形態は、自己運搬として認められない可能性があります。

見られているのは「誰の車か」ではなく、「誰の廃棄物を、誰の責任で運んでいるか」です。

判断材料になる項目

  • 廃棄物が生じた事業活動
  • 排出事業者の名称
  • 運搬を行う法人・個人
  • 運転者の所属
  • 車両の所有者・使用者
  • 運搬中の管理責任
  • 契約書と実際の運用が一致しているか

他社から依頼された廃棄物を運ぶ場合との違い

次のようなケースは、他人の産業廃棄物を運ぶことになり、原則として許可が必要です。

  • 顧客の産業廃棄物を処理施設まで運ぶ
  • 顧客の工場・店舗から不要物を回収する
  • 清掃やメンテナンスで顧客の廃棄物を持ち帰る
  • 別法人の店舗やフランチャイズ店の廃棄物をまとめて運ぶ
  • 親会社・子会社・関連会社の廃棄物を運ぶ

ここでも、無料で運ぶかどうかは判断を左右しません。無償でも反復継続して行えば「業として」に該当し得ます。回収料金を本体サービスの料金に含めて別建てにしていない場合も同様です。

ケース別の整理

ケース許可の考え方
自社が排出した産廃を自社が運搬原則不要
顧客から依頼された産廃を運搬原則必要
同一法人の別事業所から運搬自己運搬になり得る
親会社・子会社間の運搬別法人なので原則必要
自社敷地内だけで移動(構内運搬)原則として法上の「運搬」に当たらない
運転手や運搬管理を外部へ任せる契約・指揮監督の実態により個別判断

判断の軸は一貫しています。「誰の車両か」ではなく「誰の廃棄物を、誰が運ぶか」です。

親会社・子会社でも「自社の廃棄物」にはならない

自己運搬は、原則として法人単位で判断されます。

したがって、次のような事情があっても、それだけでは自己運搬になりません。

  • 100%子会社である
  • 代表者・所在地が同じである
  • 企業ブランドが共通している
  • 実質的に一体で経営している

法人格が違えば、廃棄物処理法上は「他者」です。ここは感覚と制度がずれやすく、事故が起きやすい領域です。

一体的処理の認定制度

一方で、廃棄物処理法第12条の7に「二以上の事業者による産業廃棄物の処理に係る特例」(親子会社等の一体的処理の認定制度)が設けられています。

  • 認定を受けた親子会社等は、認定の範囲内で一体的な収集運搬が可能になります
  • 単なる資本関係だけでは特例を利用できません。一体的な経営が行われていること、処理基準を遵守できる体制があることなど、要件を満たしたうえで認定を受ける必要があります
  • 認定前に運搬を始めることはできません

グループ内で廃棄物を融通したい場合は、「実質的に同じ会社だから」で進めず、この制度の利用可否から検討してください。

自社従業員以外が運転する場合は自己運搬になる?

派遣労働者や別会社の従業員が運転するケースについては、判断に迷う方が多い部分です。

直接の雇用関係がないというだけで、直ちに自己運搬から外れるとは限りません。環境省の通知では、次のような項目を踏まえて判断するとされています。

  • 排出事業者が、廃棄物の処理を総合的に企画・調整・指導しているか
  • 排出事業者に、車両・施設の使用権原と維持管理責任があるか
  • 排出事業者に、運転者に対する個別の指揮監督権があるか
  • 排出事業者責任が自社に帰属することが明確か
  • 責任関係・業務内容を書面で定めている

実務上の注意点

  • 構外での運搬は、個別の指揮監督が及んでいるかがより慎重に判断されます
  • 車両と運転手を外部会社へ一括して任せる場合は、実質的な運搬委託と判断される可能性が高くなります

「人手が足りないので、運搬だけ知り合いの会社に頼んでいる」という形は、自己運搬ではなく運搬委託と評価されるリスクが高い形態です。相手方が収集運搬業許可を持っているかを確認してください。

建設工事では「自分が作業して出した廃材」とは限らない

建設・解体業の方がとくに注意すべき点です。

建設工事では、原則として元請業者が排出事業者になります。実際に作業をした下請業者が、自動的に排出事業者になるわけではありません。

つまり、下請業者が「自分たちの作業で出した廃材」を運ぶ場合でも、法律上はそれが元請業者の廃棄物であるため、原則として収集運搬業許可が必要になります。

例外として、小規模な維持修繕工事等に限定された下請運搬の特例(一次下請による少量運搬特例)がありますが、工事の種類・請負代金・運搬量・運搬先・書面の携帯など、複数の条件をすべて満たす場合に限られます。解体・新築・増築工事は、金額にかかわらずこの特例の対象外です。

「自社で発生させたように見える廃材」でも、まず契約関係を確認する。これが建設現場での鉄則です。

自己運搬でも車両表示が必要

ここからは「許可は不要でも守るべき義務」の話です。まず車両表示から。

構内だけの移動を除き、自己運搬の車両にも表示義務があります。

表示の方法と内容

項目内容
表示場所車体の外側の両側面
表示内容①「産業廃棄物収集運搬車」
表示内容②排出事業者の氏名または名称
文字の大きさ①「産業廃棄物収集運搬車」は約5cm四方以上
文字の大きさ②事業者名は約3cm四方以上
許可番号自己運搬では表示不要(許可を受けていないため)

実務上の注意点

  • マグネット式の表示も可能です。常時運搬に使わない車両であれば、脱着式が現実的です
  • シートや積載物で表示が隠れないようにしてください
  • 自動二輪車・原動機付自転車も対象です
  • 現場から自社事務所へ持ち帰る場合も表示が必要です

「ちょっと運ぶだけ」「会社に戻るだけ」という運搬でも、公道を走る以上は表示が必要になります。

運搬時に携帯する書面の記載事項

自己運搬でも、所定の事項を記載した書面の携帯が必要です。

専用の様式はありません。伝票等で代用することも、複数の書類を組み合わせて必要事項を確認できる形にすることも可能です。

記載が必要な事項

  • 排出事業者の氏名または名称・住所
  • 運搬する産業廃棄物の種類・数量
  • 積載した日
  • 積載した事業場の名称・所在地・連絡先
  • 運搬先の名称・所在地・連絡先

補足

  • 数量は重量だけでなく、立方メートルなどの体積でも構いません
  • 自己運搬なので、収集運搬業許可証の写しは不要です
  • 自社敷地内だけの移動(構内運搬)では、原則として表示・書面携帯義務の対象外です

実務的には、必要事項を印刷した自社フォーマットを作って車載しておくのが確実です。現場ごとに手書きで埋める運用にしておけば、記載漏れを防げます。

飛散・流出を防ぐ運搬方法

自己運搬にも産業廃棄物処理基準が適用されます。求められるのは、次のような措置です。

基本的な措置

  • 荷台へのシート掛け
  • 密閉容器・蓋付き容器の使用
  • 液状物に適したタンク・容器の使用
  • 過積載の防止
  • 飛散・流出・悪臭の防止
  • 騒音・振動による生活環境への支障の防止
  • 廃棄物の種類や性状に適した車両の使用

品目ごとの追加的な注意

  • 石綿含有産業廃棄物——破砕を避け、飛散を防止する
  • 水銀使用製品産業廃棄物——破損・他の廃棄物との混合を防ぐ
  • 特別管理産業廃棄物——追加の基準が適用される(そもそも許可区分が異なります)

許可がないからといって基準が緩くなることはありません。運搬中の適正管理は、排出事業者の責任として求められます。

自社の事務所や置場へ持ち帰るときの注意点

見落とされやすいのが、「いったん会社に持ち帰る」パターンです。

  • 公道を運べば、表示・書面携帯が必要です(持ち帰りも運搬です)
  • 持ち帰り先が適法な保管場所である必要があります
  • 運搬の途中で自由に一時保管できるわけではありません

保管に関する主な基準

  • 囲い・掲示板の設置、飛散流出防止などの保管基準を満たすこと
  • 積替え後の運搬先をあらかじめ決めておくこと
  • 廃棄物の性状が変化する前に搬出すること
  • 運搬の途中で保管(積替え保管)を行う場合、保管量の上限は原則として1日当たりの平均的な搬出量の7倍以下とされています

建設廃棄物を現場外で保管する場合

建設工事に伴って生じた廃棄物を、工事現場以外の場所で保管する場合、その保管場所の面積が300平方メートル以上であれば、事前の届出が必要です。

あわせて、自治体の条例で追加の届出・事前協議が定められていることもあります。置場を借りる前に、所在地の自治体へ確認してください。

自己運搬の場合、マニフェストは必要?

結論は「処分を誰が行うか」で変わります。

自己運搬・自己処分の場合

  • 運搬・処分のいずれも他人へ委託しないため、原則としてマニフェストは不要です
  • ただし自社処分を行う場合、処理施設の設置許可や処理基準の適用は別途確認が必要です

自己運搬・処分委託の場合(実務上はこちらが大半)

運搬は自社で行うが、処分は処分業者へ委託する。この場合、処分の委託があるためマニフェストが必要になります。

  • 処分業者との書面による委託契約を締結する
  • 処分業者の許可品目・処分方法・有効期限を確認する
  • 自己運搬中は、所定事項を記載した車載書面を携帯する
  • 処分業者へ引き渡す際に、紙マニフェストを交付、または電子マニフェストへ登録する
  • 紙マニフェストを交付した場合は、管理票交付等状況報告の対象になる

そして最も重要な点。排出事業者責任は、処分を委託したあとも残ります。「渡したら終わり」ではなく、最終処分が終わるまで確認する責任があります。

補足:運搬だけを外注する場合の注意

自己運搬に関連して、もうひとつ確認しておきたい論点があります。

産業廃棄物の収集運搬については、収集または処分と一体となった廃棄物処理業務として整理される場合と、運送だけを請け負う業務として整理される場合があります。後者にあたる場合は、産業廃棄物収集運搬業許可とは別に、貨物自動車運送事業法上の許可等の確認が必要になります。

あわせて、2026年4月1日施行の改正貨物自動車運送事業法(いわゆるトラック新法)にも注意が必要です。この改正では、違法な白トラ(自家用トラックによる違法な有償運送)へ運送を委託した荷主側も処罰の対象となりました。従来は運送を行った事業者のみが取り締まりの対象でしたが、2026年4月以降は委託した側にも法的責任が生じます。

つまり、運搬を外部へ委託する側の確認義務が重くなっているということです。廃棄物の運搬を外注する場合は、相手方の産業廃棄物収集運搬業許可に加えて、その業務が運送のみの請負にあたらないかもあわせて確認しておくと安全です。

※この論点は廃棄物処理法とは別の法律に関わるもので、業務の実態によって判断が分かれます。判断に迷う場合は、運輸支局や専門家へご確認ください。

よくある誤解の整理

よくある誤解実際の扱い
自社トラックなら何を運んでも自己運搬車両の名義ではなく、排出者と運搬主体が同一かどうかで判断される
同じグループ会社なら自己運搬になる法人格が別なら原則として他者の廃棄物。一体的処理には認定が必要
無料で運べば許可不要有償・無償は問われない。反復継続して行えば「業として」に該当し得る
自己運搬なら車両表示は不要構内運搬を除き、自己運搬車にも表示義務がある
会社へ持ち帰るだけなら書面はいらない公道を運搬する以上、所定事項を記載した書面の携帯が必要
自己運搬ならマニフェストは常に不要処分を業者へ委託する場合はマニフェストが必要
一時的なら会社の敷地へ自由に保管できる保管基準の適用があり、面積によっては事前届出も必要
下請業者が作業で出した廃材は下請業者の廃棄物建設工事では原則として元請業者が排出事業者

自己運搬か判断するチェックリスト

  1. 対象物は産業廃棄物か(事業系一般廃棄物ではないか)
  2. 排出事業者は自社
  3. 排出者と運搬者は同一法人
  4. 顧客や別法人から運搬を依頼されていないか
  5. 運転者を自社が実際に指揮監督しているか
  6. 車両を使用する権原があるか
  7. 車両表示を準備したか
  8. 必要事項を記載した書面を車載したか
  9. 飛散・流出を防止できる車両・容器か
  10. 運搬先は適法な処分施設・保管場所か
  11. 処分委託契約とマニフェストを準備したか
  12. 自治体独自の搬入・保管規制を確認したか

1〜4がひとつでも崩れると、自己運搬ではなくなる可能性があります。5〜12は、自己運搬であっても必要な準備です。

よくある質問(FAQ)

Q.自社の産業廃棄物を自社トラックで運ぶ場合、許可は必要ですか?

A.排出事業者が自ら運ぶ場合、原則として収集運搬業許可は不要です。ただし排出者と運搬主体が同一であることが前提で、許可が不要でも車両表示・書面携帯・飛散流出防止などの運搬基準は適用されます。

Q.レンタカーやリース車でも自己運搬できますか?

A.自社に使用権原があり、自社の管理・責任のもとで運搬しているのであれば、自己運搬として整理し得ます。車両の所有名義より、運搬の管理・指揮・責任の所在が重要です。

Q.同じ会社の支店から本社へ運ぶ場合は自己運搬ですか?

A.同一法人内の事業所間の運搬であれば、自己運搬になり得ます。ただし運搬先が適法な保管場所であること、公道を運搬する場合は車両表示・書面携帯が必要であることに注意してください。

Q.親会社の廃棄物を子会社が運べますか?

A.原則としてできません。法人格が別であれば他者の廃棄物として扱われます。廃棄物処理法第12条の7の認定を受けた範囲であれば一体的な処理が可能ですが、単なる資本関係だけでは特例を利用できません。

Q.顧客の廃棄物を無料で持ち帰る場合も許可が必要ですか?

A.無償であることを理由に許可が不要になるわけではありません。他人の産業廃棄物を反復継続して運べば「業として」に該当し得ます。商慣習上の下取りなど限定的な例外はありますが、要件を満たす必要があります。

Q.派遣社員が運転する場合も自己運搬になりますか?

A.直接の雇用関係がないだけで直ちに自己運搬から外れるとは限りません。排出事業者が処理を総合的に企画・調整・指導しているか、車両の使用権原と維持管理責任があるか、運転者への個別の指揮監督権があるか、責任関係を書面で定めているかなどを踏まえて判断されます。構外での運搬はより慎重に判断されます。

Q.下請業者が工事現場の廃材を運べますか?

A.建設工事では原則として元請業者が排出事業者となるため、下請業者が運ぶ場合は原則として許可が必要です。一次下請による少量運搬特例に該当する場合のみ例外的に運搬できますが、工事の種類・請負代金・運搬量・運搬先・書面など複数の条件をすべて満たす必要があります。

Q.自己運搬車には何を表示しますか?

A.車体の外側の両側面に「産業廃棄物収集運搬車」と、排出事業者の氏名または名称を表示します。文字の大きさは、前者が約5cm四方以上、後者が約3cm四方以上です。

Q.自己運搬でも許可番号の表示は必要ですか?

A.不要です。許可を受けていないため、許可番号の表示義務はありません。表示するのは「産業廃棄物収集運搬車」と排出事業者の氏名または名称です。

Q.自社の事務所へ持ち帰るだけでも書面携帯が必要ですか?

A.必要です。公道を使って運搬する以上、持ち帰りであっても所定事項を記載した書面の携帯が求められます。専用様式はなく、伝票等で代用することも可能です。

Q.自社敷地内だけの移動にも表示が必要ですか?

A.構内運搬であれば、原則として表示・書面携帯義務の対象外です。ただし公道に出る場合は対象になります。

Q.自己運搬の場合、マニフェストは必要ですか?

A.運搬も処分も自社で行う場合は原則として不要です。運搬は自社で行っても処分を業者へ委託する場合は、処分の委託があるためマニフェストが必要になります。

Q.特別管理産業廃棄物も自己運搬できますか?

A.排出事業者が自ら運ぶ場合、収集運搬業許可という意味では同様の整理になりますが、特別管理産業廃棄物には追加の処理基準が適用され、特別管理産業廃棄物管理責任者の設置など別の義務もあります。取り扱う前に必ず個別に確認してください。

Q.自社運搬した廃棄物を一時保管できますか?

A.保管場所が保管基準を満たしている必要があります。囲いや掲示板の設置、飛散流出防止措置などが求められ、運搬途中の積替え保管を行う場合は保管量の上限もあります。また建設廃棄物を現場外の300平方メートル以上の場所で保管する場合は事前の届出が必要です。

おわりに

自己運搬をめぐるトラブルの多くは、「自社の廃棄物だと思っていたら、法律上は他社の廃棄物だった」というパターンから始まります。グループ会社の廃棄物、下請として作業して出した廃材、顧客の現場から持ち帰った不要物——いずれも感覚的には「自分たちのもの」に思えますが、制度上の扱いは違います。

そしてもうひとつ。許可が不要であることと、義務がないことは別です。車両表示、書面携帯、処理基準、保管基準、マニフェスト。自己運搬でも守るべきことは残ります。

自社で運ぶと決めたなら、まず「本当に自社の廃棄物か」を確認し、次に「必要な準備は揃っているか」を確認する。この2段階で見ていけば、判断を大きく誤ることはありません。

当事務所(M&M行政書士事務所)は、建設・解体の現場を経験したうえで許可申請を扱っています。「この運搬は自己運搬で通るのか」「許可を取るべきか」といった入口の判断から、現場感覚を踏まえてご相談に対応できます。

産業廃棄物の運搬についてお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。オンライン対応で、全国からのご依頼を承っています。


※本記事は2026年7月24日時点の公式資料をもとにした一般的な解説であり、個別の案件について許可の要否を保証するものではありません。自己運搬に該当するかどうか、また必要な手続については、都道府県・政令市等へご確認ください。

参考:e-Gov「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」/環境省「産業廃棄物収集運搬業の許可」/環境省「排出事業者責任の徹底について」/環境省「収集運搬車への表示・書面備え付け義務」/環境省「表示・書面備え付けに関する施行通知」/環境省「親子会社認定等に関するQ&A」/環境省「建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外」/環境省「規制改革通知に関するQ&A」/環境省・国土交通省「廃棄物の処理と貨物自動車運送事業に係る許可等の関係」/横浜市「自社運搬とマニフェストに関するQ&A」

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